コラム
ナゾラビアルファットとは?ほうれい線の影を作る脂肪を医師が解説
2026.06.18
この記事の監修
畑山 知輝 / PRISM Beauty Clinic 統括院長・美容外科医/小顔・輪郭形成
顔の脂肪吸引・糸リフト・ボトックスに注力。あご下からEラインを整える術式「あご先リフト」を考案。
ナゾラビアルファットとは、小鼻の横から口角にかけて、ほうれい線の上にのる小さな脂肪のかたまりのこと。これが厚いと、ほうれい線の影が濃く出たり口元が重く見えたりします。ほうれい線対策はヒアルロン酸だけが答えではありません。脂肪が原因なら「足す」より「減らす」が合うこともあります。本記事では定義から使い分けまで中立に整理します。
ナゾラビアルファットとは?
ナゾラビアルファット(nasolabial fat)とは、小鼻の横から口角にかけて、ほうれい線(鼻唇溝)のすぐ上にのっている脂肪のかたまりを指します。「鼻唇=ナゾラビアル」の名のとおり、ちょうどほうれい線を作る溝の頬側の縁に位置します。この脂肪が厚みを持つと、溝との境目に段差ができ、ほうれい線の影が濃く・長く見える一因になります。
ほうれい線というと「ハリ不足のしわ」「たるみ」というイメージが強いですが、実際の見え方は複数の要素が重なって決まります。皮膚のたるみ、頬の脂肪の下垂、骨格、そしてこの溝の上にのる脂肪の厚み。原因が違えば、合う対策も変わります。「ほうれい線=ヒアルロン酸」と一択で考えてしまうと、かえって遠回りになるケースがあります。
ほうれい線まわりの脂肪は1種類ではない
顔の浅い層の脂肪(皮下脂肪)は、いくつかの区画に分かれています。ほうれい線まわりに関係しやすいものを整理すると、次のとおりです。
- ナゾラビアルファット:ほうれい線の上にのる脂肪。溝の境目を強調しやすい。
- メーラーファット:目の下〜頬の上方にある脂肪。下垂すると中顔面が重く見える。
- ジョールファット:口角の外側〜下、フェイスラインにのる脂肪。もたつき・たるみ感の原因になりやすい。
どこが張り出しているか、どこが下がっているかで、見た目の悩みも対処も変わります。自分のほうれい線が「溝のすぐ上の脂肪」によるものなのか、「頬全体の下垂」によるものなのかを切り分けることが、最初の一歩です。
ナゾラビアルファットを除去するとどう変わる?
結論から言うと、ほうれい線の上にのる脂肪が厚みの主因の場合、これを減らすと溝の段差がなだらかになり、影が薄く・口元が軽く見えやすくなります。ただし効果には個人差があり、皮膚のたるみが主因の人では脂肪を減らしても変化が乏しいこともあります。
ヒアルロン酸は溝を「埋めて持ち上げる=足す」発想ですが、脂肪除去は出っ張りを「減らす」発想です。もともとボリュームが過剰なタイプにヒアルロン酸を入れると、かえって膨らみが増し、不自然に見えることもあります。逆に、痩せて影がくぼんでいるタイプに脂肪除去をすると、こけて見えるリスクがあります。方向性が真逆なので、見極めが要になります。
【限定解除】施術として行う場合の基本情報
ナゾラビアルファットへのアプローチを含む顔の脂肪除去・脂肪吸引は、いずれも公的医療保険が適用されない自由診療です。費用は施術範囲や方法により個人ごとに異なるため、診察のうえカウンセリングで提示します。
治療内容:細いカニューレ(吸引管)や、小切開を用いて、対象部位の皮下脂肪を医師が調整しながら減量する施術です。デザインと量のコントロールが仕上がりを大きく左右します。
主なリスク・副作用・ダウンタイム:腫れ、内出血、むくみ、つっぱり感、左右差、しこり、知覚の一時的な鈍さ、感染などが起こり得ます。腫れや内出血は数日〜2週間程度で目立ちにくくなることが多いですが、最終的な落ち着きには数週間〜数か月かかる場合があります。経過には個人差があります。取りすぎは戻しが難しいため、控えめに見極める判断が大切です。
向く人・向かない人
結論として、「溝の上の脂肪が局所的に張り出しているタイプ」は向きやすく、「皮膚のたるみや痩せによるくぼみが主因のタイプ」は向きにくい、というのが基本の考え方です。
| 向きやすい人 | 慎重な検討が必要な人 |
|---|---|
| ほうれい線の上にぷっくりした厚みがある | 頬全体が下がってほうれい線が出ている |
| 笑うと溝の上の膨らみが目立つ | もともと痩せ型で頬がこけ気味 |
| 口元が重く・もたついて見える | 溝がくぼんで影になっている(足す方が合う) |
| ヒアルで膨らみが増した経験がある | 皮膚のしわ・質感の悩みが中心 |
多くの方は単一原因ではなく、複合しています。たとえば、溝の上の脂肪を整えつつ、フェイスライン側のジョールファット除去を組み合わせる、中顔面の重さにはメーラーファット除去を検討する、といった「部位ごとの設計」が現実的です。広範囲なら顔の脂肪吸引として全体のバランスから考える方が、結果的に自然に仕上がりやすい場面もあります。
ヒアルロン酸・脂肪吸引との使い分け
同じ「ほうれい線」でも、原因によって最適解は変わります。中立に整理すると次のとおりです。効果や持続には個人差があります。
| 方法 | 考え方 | 向くケース | 留意点 |
|---|---|---|---|
| ヒアルロン酸 | 溝を足して持ち上げる | 溝がくぼんで影になっている | 入れすぎで膨らむことがある。持続は限定的 |
| 脂肪除去(ナゾラビアル) | 溝の上の出っ張りを減らす | 脂肪の厚みが主因 | 取りすぎ・くぼみに注意。ダウンタイムあり |
| 糸リフト/たるみ治療 | 下がった組織を引き上げる | 頬の下垂が主因 | 脂肪量そのものは大きく変わらない |
「ほうれい線が気になる=とりあえずヒアルロン酸」という安易な選択は、原因と治療の方向が噛み合わないと満足度が下がります。膨らみが原因なのに足すと、ますます重く見える——これは実際に修正相談で見かけるパターンです。まず「足す悩みか、減らす悩みか、上げる悩みか」を診察で切り分けることをおすすめします。
後悔しないための見極めポイント
ナゾラビアルファットへのアプローチで最も大切なのは「量の見極め」です。脂肪は減らすのは比較的得意でも、減らしすぎた後に自然に戻すのは難しいからです。控えめに、左右差を見ながら整える設計が、長い目で見て満足につながりやすいと考えています。
- 加工感の強いビフォーアフターを鵜呑みにしない
- 「全員ヒアル」「全員吸引」のような画一的な提案は要注意
- 笑顔・正面・斜めなど複数の表情で評価してもらう
- あご下やフェイスライン全体のバランスもあわせて相談する
口元の重さは、ほうれい線まわりだけでなく、あご下や輪郭全体のバランスにも左右されます。横顔のEラインまで含めて整えたい方は、あご下の脂肪をあご先へ移動させて輪郭を整えるあご先リフトといった輪郭側のアプローチと組み合わせて検討すると、顔全体としての印象が整いやすくなります。どの方法が合うかは、骨格・脂肪・たるみの比率を診て判断します。
よくある質問(FAQ)
Q. ナゾラビアルファットとは何ですか?
A. 小鼻の横から口角にかけて、ほうれい線のすぐ上にのっている脂肪のかたまりです。これが厚いと溝の段差が強調され、ほうれい線の影が濃く見えたり口元が重く見えたりする一因になります。
Q. 除去するとほうれい線は消えますか?
A. 脂肪の厚みが主因の場合は影がなだらかになり目立ちにくくなることが期待できますが、消えるとは限りません。皮膚のたるみが主因の人では変化が乏しいこともあり、効果には個人差があります。
Q. ヒアルロン酸と脂肪除去はどちらが良いですか?
A. 原因によります。溝がくぼんで影になっているなら足すヒアルロン酸、溝の上が出っ張っているなら減らす脂肪除去が合いやすいです。方向が真逆なので、診察での見極めが重要です。
Q. ダウンタイムはどのくらいですか?
A. 腫れや内出血は数日〜2週間程度で目立ちにくくなることが多いですが、最終的な落ち着きには数週間〜数か月かかる場合があります。むくみやつっぱり感も起こり得ます。経過には個人差があります。
Q. 取りすぎてこけることはありますか?
A. あり得ます。脂肪は減らした後に自然に戻すことが難しいため、控えめに量を見極める設計が大切です。もともと痩せ型・頬がこけ気味の方は特に慎重な検討が必要です。
Q. 費用はどのくらいですか?
A. 顔の脂肪除去・脂肪吸引は自由診療で、施術範囲や方法により個人ごとに異なります。具体的な費用は診察のうえカウンセリングで提示します。
Q. 他の顔の脂肪除去と一緒にできますか?
A. ジョールファットやメーラーファットなど、隣接する部位とあわせて設計することは少なくありません。顔全体のバランスから判断するため、まず診察で原因部位を切り分けることをおすすめします。

